説明
間中信也先生は言わずと知れた日本の頭痛診療の第一人者です.脳神経外科医としての知識の豊富さは当然でしょうが,いかにくも膜下出血などの2次性頭痛を鑑別,除外するかなど,頭痛のABCDE分類,頭痛の治療は3段階で行うこと,そしてred flag頭痛の除外のためのSNOOP(覗き回る)姿勢で臨め,さらには普段と様子が異なるあやしい頭痛を探せなどと,多くの鑑別の方法をかなり以前から我々に伝授してくださっています.
脳神経外科医としてだけではなく,頭痛専門医として本書にも記載されている,片頭痛は体を動かすとひどくなる,緊張型頭痛は体を動かすと楽になるという,簡単明解ではあるけれど病態生理に基づいた問診法をお教えいただいた時,当時,まだ若かった私は心から脱帽したのを覚えています.
その臨床能力もさることながら,先生が1997年に創られた466万回以上の閲覧回数を誇る「頭痛大学」は,頭痛に関する知識をほぼすべて網羅し,患者にとっても医療者にとってもわかりやすいWeb頭痛学辞典とでも言えるような素晴らしいものであり,先生の頭痛に関する知識,ご造詣がいかに深いものかを知らしめています.
2002年には第30回日本頭痛学会総会を主催され,その際の懇親会では「片頭痛交響曲」を演奏され,これまた先生がこれまで蓄積されてきた頭痛学に関する博識の一端をご披露されたものと感激しながら拝聴したのをしばしば思い出します.
さて,本書『改訂2版 ねころんで読める頭痛学 診断と治療』は,2013年に刊行以来,好評のうちに4刷を重ねてきたものの改訂版です.本書では新たに今,問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と頭痛の関連,新規片頭痛発症抑制薬の抗CGRP(calcitonin gene-related peptide)関連薬そして頭痛分類の変遷といった新しい内容が追加されています.
本書を購入された読者は頭痛に関する最高の読み物として,最高の教科書として本書について満足されることは間違いないと信じます.
獨協医科大学 副学長 平田幸一
発行 / メディカ出版
著者 / 間中 信也 (著)
レビュー
レビューはまだありません。