説明
好評を博した『硬膜動静脈瘻のすべて』を大幅改訂。臨床で遭遇し得るあらゆるタイプのdural AVF(硬膜動静脈瘻)とAVM(脳動静脈奇形)を完全網羅。疫学から病態、最新のデバイス、治療法まで学べ、血管内治療専門医試験の学習にも最適。治療の実際がよく分かるWEB動画22本付き!
諸 言~改訂の目的と意義~
『血管内治療にかかわる医師必携 硬膜動静脈瘻のすべて』(2011年)を出版後,10年以上が経過した.
この間にマイクロカテーテル,ガイドワイヤー,distal access catheter(DAC)の進化,またOnyxを含めた非接着性液体塞栓物質の普及に伴い,硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dAVF),脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)に対する塞栓術の治療戦略そのものが,特にここ数年で劇的に変化してきた.
まず,マイクロカテーテルに関しては,DeFrictor Nano,CHIKAI X 010の導入により従来Marathon,Magicでは到達できなかったレベル(dAVFではシャントを越えて静脈サイドまで,AVMではnidus内)までマイクロカテーテルの導入が,稀ならず可能となってきた.このことにより,non-sinus typeのdAVFでは,大部分の症例が血管内治療(Onyxを用いたTAE)で根治できるようになり,AVM塞栓においてもnidusのみの塞栓が可能となったため,塞栓術に伴う虚血性合併症が減少してきている.
また,DACが頭蓋内動脈の遠位まで十分に挿入できれば,いわゆるplug and push法を用いても,マイクロカテーテルの抜去困難となる症例は激減してきている.ただし,理論的には,この手技に関してはdetachable tip microcatheter(現時点で国内では使用できない)を用いたほうが安全性は向上することは間違いない.
カテーテルの末梢到達性の進歩は動脈のみならず,静脈からのアプローチも可能にした.Non-sinus type dAVFで動脈側から十分末梢に到達できない場合は,静脈流出路を逆に辿り,シャントを閉塞することも可能になってきている.また小型のAVMでは,流出静脈を逆行性に辿り,静脈サイドからplug and push法でnidusを越えてOnyxを流入動脈まで到達させることができれば,根治に持ち込むことも可能である.出血発症の脳幹,基底核の小型AVMは本治療のよい適応と考えられている.
発行 / メディカ出版
著者 / 寺田 友昭 (編集, 著), 清末 一路 (編集, 著)
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